最近、グーグルとコロンビア大学のチームなどは新しい量子経典混合アルゴリズムを採用し、16個の量子ビットの化学計算を実現した。これは量子コンピュータが現在完成できる最大規模の化学計算である。
理論的には,量子計算機は量子優位性を実現し,古典的な計算機では解決できない特定の問題の答えを見つけることができる。量子計算機が持つ量子ビットが多ければ多いほど,その計算能力は指数級で増強される。
量子計算機は分子反応のシミュレーションなどの化学分野に応用でき,新しい電池や新薬の開発に役立つだろう。分子が大きくなるにつれて,化学シミュレーションの複雑さと難易度は指数関数的に増加し,量子計算機はこれらの挑戦を克服する可能性がある。
今回、グーグルの量子人工知能プロジェクトチーム、コロンビア大学とカリフォルニア大学バークレー校の研究者はモンテカルロアルゴリズムを用いて、グーグルの「スズキ懸垂」(Sycamore)量子計算機で分子の基底状態エネルギー(すなわち、分子の最低エネルギー基底状態)を16個の量子ビットで計算し、これまでで最大規模の化学量子計算を実現した。関連成果は最近『自然』(Nature)定期刊行物に発展した。
Googleはこれまで12個の量子ビット実験(左)と今回の16個の量子ビット実験(右)を行い、写真は論文から
研究では,前述のチームが古典的計算と量子計算を組み合わせた新しい方法を提案し,実験的に検証して化学研究を行った。これは閉じ込められたFermi量子モンテカルロアルゴリズム(QMC)と量子計算を組み合わせた方法である。Fermi量子モンテカルロアルゴリズム(QMC)は,Fermi(すなわち電子を含む量子粒子)量子物理モデルのために設計されたモンテカルロアルゴリズムである。
一般的に,古典的な計算機上でFermi量子モンテカルロアルゴリズムを実行すると,大きな分子をより良くシミュレートできない。従って,チームは古典的計算と量子計算の混合法を用いてこの困難を克服した。この量子古典的混合アルゴリズムの性能を評価するために,ダイヤモンド結晶中の2つの炭素原子のエネルギーを計算するために16個の量子ポテンシャルを用いた。
この実験は,グーグルがこれまで「サスペンションスズキ」量子計算機で行った化学計算よりも4量子ビット多く,より正確な実験結果を得て,これまで最大規模の化学量子計算を実現した。